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インスタントラーメンに関するコラム

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2023.08.31

―WINA インスタントラーメンコラム―

食品添加物の健康リスクはどれくらい?

 「インスタント・ラーメンのラベルに書いてある原材料表示を見ると、知らない化学物質名が多く書かれていて、何の目的で使用されているのかよく分からない。なぜ健康によくない食品添加物をこんなに入れるの?」という不安な消費者の方の声をよく聞きます。本コラムの第1回でも解説しましたが、消費者のみなさんの中には食品添加物の健康リスクを過大に見積もってしまったり、またその使用目的もわかりにくいことから敬遠される方もいらっしゃいますが、添加物の役割、そしてリスクについてきちんと理解することが大切です。
 そもそも加工食品は手作りの料理と違い、食品添加物を使わなければ、製造して3日後には腐敗し、見た目も変色して美味しくない食品になるため、食中毒防止・保存性維持の観点からも食品添加物は不可欠です。食品安全の専門家は、以下のように詳しく解説しています:
 食品添加物は、味・風味・食感・色調などの改善とともに、微生物の増殖を抑制して保存性を向上させることで食の安全にも貢献し、栄養強化・減塩食品への使用や低カロリーにするために使用されます1)。インスタント・ラーメンに用いられる食品添加物も、食材に適した調味料・保存料・酸化防止剤・着色料・乳化剤・pH調整剤などの役割を担っています。様々なメニューの加工食品を開発するのに、多種多様な食品添加物が貢献しているため、原材料表示に多くの食品添加物名が記載されているわけです。
 食品添加物それぞれの使用目的がわかったとしても、「食品添加物を多種類配合した加工食品を利用する人ほど生活習慣病になりやすい」との週刊誌記事を読んだことがある方々は、とても不安に思われるかもしれません。一見もっともらしいそのような科学文献情報も、SFSSがファクトチェックした結果、フェイクニュース(意図的な偽情報)であるとの評価判定になりました2)。食品安全の専門家によると、例えば日本においては、国の食品安全行政が認可した食品添加物の安全性は国際的なリスク評価のうえで、加工食品への配合量=ヒトへの摂取上限量を決めることにより、綿密にリスク管理されており、きわめて高いレベルで安全性が確保されているとのことです3)。我々が普段から食している天然の食品素材は、そのようなリスク管理が全くされておらず、これまでの食経験や加熱調理など消費者自らのリスク管理に依存しているのと比較しても、食品添加物の安全性は極めて高いと評価されています。
 「食品添加物の種類が多いほど健康によくない」との偽情報に振り回されてしまう消費者の、リスクリテラシー向上のカギになる原理として、16世紀の自然科学者パラケルススの残した名言:「毒か安全かは量で決まる (The Dose Makes the Poison)」があります。すなわち、食品添加物に限らず、水でも塩でも添加物でも大量に摂取すれば毒になる、ということです4)
 皆さん、かぜ薬をのむときに、用法用量が「1日1錠」と記載してあるのに10錠のみますか?10錠ものんだら副作用が出るかもしれないと、一般的には想像がつくかと思います。では食品添加物はどうでしょう。安全性試験で生体に影響が出ない用量を求めて、その100分の1以下しか配合してはいけないと法律で決まっているのですが、副作用が出るでしょうか?
 このように食品添加物のリスクをイメージすると、重要なのは加工食品に何種類の食品添加物が入っているかではなく、どのくらいの量を摂取しているかになるわけです。それぞれの食品添加物の配合量が無視できるくらい微量ですので、食品安全の専門家はリスクが高いとは言えないと評価するのです。

《参考文献》

1. 一般社団法人 日本食品添加物協会 (2023) 食品添加物の種類と用途例(2023年8月21日取得, https://www.jafaa.or.jp/tenkabutsu01/siryou)

2. SFSS(2019) 食べてはいけない「超加工食品」実名リスト⇒フェイクニュース(レベル4)(2023年8月21日取得, https://nposfss.com/fact-check/shincho_20190131/)

3. 西島基弘(2021) 『食品添加物の安全性と無添加・不使用』 SFSSホームページ・アーカイブス(2023年8月21日取得, https://nposfss.com/article/kikan40_p02/)

4. 山﨑 毅(2013) 『毒か安全かは量で決まる』 SFSSホームページ・理事長雑感(2023年8月21日取得, https://nposfss.com/c-blog/poison/)

 

 

 

         

《執筆者:山崎 毅》

NPO法人食の安全と安心を科学する会(SFSS)理事長/獣医学博士

1983年東京大学農学部卒。1985年同大学院修了、同年湧永製薬(株)に入社し6年間米国にてサプリメントR&Dに従事。2011年SFSSを設立。

 

認定NPO法人ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)理事

食生活ジャーナリストの会(JFJ)事務局長

一般社団法人消費者市民社会を作る会(ASCON)科学者委員会・事務局長

 

★SFSSウェブサイト https://nposfss.com/