第11回
世界ラーメンサミット 2025
日時:2025年2月25日(火)~26日(水)
開催地:マニラ(フィリピン)

- 概要
- 宣言
- フォーラム
内容 - フォト
ギャラリー
概要
日時
2025年2月25日(火)~2月26日(水)
会場
シャングリ・ラ・ザ・フォート・マニラ
ホスト
カンパニー
Monde Nissin Corporation
テーマ
World United by Noodles
2025年2月25日(火)~26日(水)の2日間、フィリピン・マニラにおいて第11回世界ラーメンサミットが開催されました。世界各国の即席めんメーカーの経営層や関連事業者ら250人超が参加。「World United by Noodles」をテーマに、地球規模での社会的課題の解決に向けて業界としてどのように貢献できるかを話し合い、加盟各社が取り組む自主目標「WINA Challenge Target」を対外的に公表しました。さらに、即席めんメーカー各社が連帯し、業界として地球規模の問題解決に取り組むことを「マニラ宣言」として26日に採択し、サミットは成功裏に閉幕しました。
プログラム

1日目
●開会挨拶
【ホスト(モンデニッシン社)メッセージ】 モンデニッシン社CEO ヘンリー・ソサント
【WINA会長メッセージ】 世界ラーメン協会 会長 安藤宏基
●基調講演
国際機関 日本アセアンセンター 事務総長 平林国彦
●「WINA Challenge Target」プレゼンテーション
世界ラーメン協会 食の安全安心部会長 田中充
●理事会
●フォーラム
【フォーラム①】:栄養と健康
【フォーラム②】:環境保全

2日目
●基調講演
中国食品科学技術学会 名誉理事長 孟素荷
中国食品科学技術学会 副理事長
(中国疾病予防管理センター 栄養健康首席専門家)丁鋼強
●フォーラム
【フォーラム③】:食品安全
【フォーラム④】:社会課題の解決
●マニラ宣言
●合同記者会見
開催報告
開会挨拶
冒頭挨拶には、フィリピンの即席めん大手・モンデニッシンのヘンリー・ソサントCEOや安藤宏基WINA会長が登壇。7年ぶりのリアルなサミット開催について喜びを述べた後、世界的な課題に対応するためには「各理事やメーカーがポジティブに取り組むことが大切であり、業界として持続可能なイノベーションを通じて世界の消費者に貢献していく」と決意を表明しました。

基調講演
1日目の基調講演は、日本アセアンセンターの平林国彦事務総長が登壇。「即席めん産業の岐路とウェルネス経済へのシフト」をテーマに、ウェルネス経済が拡大していく潮流こそ、即席めん業界がより良い健康とWell-beingに貢献する食品へと変革するチャンスだと強調しました。 2日目は、中国食品科学技術学会の孟素荷名誉理事長と丁鋼強副理事長(中国疾病予防管理センター栄養健康首席専門家)が登壇。現在の即席めん市場は、高付加価値化の進展、消費者の健康志向の高まりなどから、「飢餓を満たす」時代から「栄養強化」の時代へ進化していると説明。「即席めん3.0」時代の到来に向けた、業界の更なる発展に大きな期待を示しました。

WINA Challenge Targetプレゼンテーション
「WINA Challenge Target」の意義について、田中充 WINA食の安全安心部会長は「即席めん業界は、健康・栄養や 環境問題のトレンドに追いつき、進化しなければいけない」と説明。「栄養と健康」、「環境保全」、「食品安全」、「社会課題の解決」の4つの重点分野について、会員各社が自主目標を定め、取り組んでいくことを初めて対外的に公表しました。さらにそれぞれの重点分野における取組の事例として、①減塩・減糖・減脂や栄養面での商品強化、②持続可能な資源利用や環境負荷低減、③品質管理の強化やわかりやすい表示による安全強化、④災害時における救援物資としての役割、などを広く参加者に紹介しました。

フォーラム
2日間にかけて「WINA Challenge Target」の重点分野である「栄養と健康」、「環境保全」、「食品安全」、「社会課題の解決」の4つのテーマごとに、有識者による講演や、即席めんメーカーを交えた共同セッションなどが行われました。「社会課題の解決」のセッションでは、安藤WINA会長から会員企業がそれぞれの地域において、社会貢献活動を推進する「WINA Day」の実施が提案されるなど、世界が抱える様々な課題に対し、国境や文化の違いを越えた取り組みのアイデアや、連携の重要性について活発に議論がされました。

理事会
世界の主要13社のトップ及び特別会員2団体の代表が一同に会する理事会では、「マニラ宣言」に盛り込む内容の議論や、今後のWINA活動方針について活発な意見交換が交わされました。
マニラ宣言
即席めんがサステナブルな産業、製品であり続けるために、栄養・健康についての課題への対応や地球環境への配慮などに取り組む「WINA Challenge Target」を含んだ「マニラ宣言」の調印式が行われ、WINA理事会社による共同コミットメントを確認しました。

共同記者会見
サミット終了後WINA理事会社が共同記者会見に出席し、サミットの総括やWINA Challenge Targetの目的などについて説明。インスタントラーメン業界の決意を世界に向け発信しました。

展示エリア
展示エリアでは、世界各国・地域の即席めん製品のデジタル展示のほか、即席めんを模したオブジェを配したフォトブースなどの体験展示など、一般来場者も楽しく多彩な即席めんの世界に触れることができる工夫が施されました。

※肩書は当時のものです
マニラ宣言
在インスタントヌードルは世界で年間1,200億食以上が消費される、グローバルフードとなりました。
今日、世界は気候変動や、栄養不良といったさまざまな課題を抱えていますが、我々インスタントヌードル業界は、こうした社会課題に対して全力で取り組んでいます。
インスタントヌードルは開発当初の①美味しい、②安全・安心、③簡便、④長期保存、⑤安価、の開発5原則に、「栄養・健康」と「環境保全」の2つの要素を加えた7原則を掲げています。前回のバリサミットでは、「栄養と健康」、「環境保全」、「食品安全」、「その他社会課題の解決」の4つを重点分野と定め、インスタントヌードル業界が取り組んでいく自主目標として「WINA Challenge Target」を設定しました。
1.「栄養と健康」:減塩・減脂への取り組み、即席めん製品の栄養バランスの改善などを通じ、より健康的な製品の提供を目指します。
2.「環境保全」:資源の有効活用、温暖化ガスの排出抑制、廃棄物の削減、エネルギー消費の削減や再エネの活用などを進めます。
3.「食品安全」:品質管理の徹底や正確な製品情報の提供などを通じて、生産から消費までのすべての段階で製品の安全性向上に努めます。
4.「その他の社会課題の解決」:災害支援や原料生産者による持続可能な農法に対する支援などの取り組みにより、人々のウェルビーイングの構築に貢献します。
本マニラサミットでは、この「WINA Challenge Target」の取り組みを初めて対外的に公表することとし、インスタントヌードル業界全体が連帯し、政府機関およびその他の団体との連携を行うことで、さまざまな社会課題に取り組むことを目指します。今回のサミットテーマである「World United by Noodles」にもある通り、地球規模の課題解決、そして人々のウェルビーイングに貢献するためには、国境や文化の違いを越えて、業界全体で「連帯」していくことが何よりも重要です。
この「WINA Challenge Target」をもとに、インスタントヌードル業界が連帯し、一つひとつの具体的なアクションを通じて世界にポジティブな変化を生み出す努力を続けることで、世界が抱えるさまざまな社会課題の解決に向けた取り組みをリードしていくことをマニラで宣言します。
フォーラム内容
基調講演
即席めん産業の岐路とウェルネス経済へのシフト

平林国彦
日本アセアンセンター
事務総長
「即席めんは多様な地域と文化の人々にとって根付いた食文化だが、世界の変化に対して適応が必要」と指摘。ウェルネス経済は単なるトレンドではなく世界的な潮流であり、2028年には9兆ドル規模に成長すると予測しながら、減塩や食物繊維の強化など、より良い健康とWell-beingに貢献する食品へと変革するチャンスだと強調しました。さらに、サステナビリティの重要性などにも言及しながら、「WINA加盟企業はリーダーとして、食の未来を形作る力を持っている。共通目的を実現するために、今こそ業界が一丸となって変化をリードする時」と連帯を呼びかけました。
基調講演
中国の即席麺の栄養と健康への道

孟素荷
中国食品科学技術学会
名誉理事⻑
中国市場の現状として、高付加価値化の進展、価格競争の激化、消費者の健康欲求の高まり、風評被害リスクの増加、を背景に、「健康」と「差別化」が益々重要になっていると述べ、これら時代の要請に応えるため業界各社と政府が一体となり即席めんをより健康的な商品へ進化させるための取り組みを進めていると説明。食品業界全体で連携して中国の現状に即した国家基準策定のため、政府への働きかけを行っていることを紹介しました。
基調講演
中国国内における塩分摂取に対する介入政策と、即席麺業界の健康への変容

丁鋼強
中国食品科学技術協会
副理事⻑(中国疾病予防管理センター栄養健康首席専門家)
中国の即席めんの健康改革について、中国では元来食品からの塩分摂取量が高い点を挙げ、過剰な塩分摂取が心疾患や脳血管系疾患の主要因となっていると解説しました。こうした健康課題の改善のため、「食品業界のテクノロジーを活用し、即席めんを単に空腹を満たす食品から美味しく、かつ栄養価の高い健康的な選択肢へと進化させ、『即席めん3.0』への移行を推進しよう」と強調しました。
フォーラム①
栄養と健康

Access to Nutrition initiative(ATNi)のグレッグ・ギャレット エグゼクティブ・ディレクターがATNiの取り組みや、業界が政府承認の栄養プロファイルモデルを活用し、包装食品の適切な測定や開示を確保する必要性などについて紹介したほか、フィリピン国家栄養評議会(NNC)のアスチェナ・ダヤンギラン博士は「食品パッケージの前面に栄養表示をすることは消費者教育のツールとして有効」と、より簡単な方法で栄養情報を表示することの重要性を訴えました。
本フォーラムのパネルディスカッションには山本尚子・国際医療福祉大学 国際医療協力センター長をモデレーターとし、登壇者の2人のほかインドフード、エースコックベトナム、日清食品ホールディングスから各パネリストが参加。栄養と同時においしさも両立させる重要性、消費者への栄養教育の必要性などについて議論しました。
フォーラム②
環境保全

フィリピン政府のアナリゼ・テー次官は気候変動が生産性に与える影響を指摘し、バリューチェーン全体での対応の必要性を強調。NPO「プラスチック・コレクティブ」のスティーブ・ハードマンCEOは世界的なプラスチック条約が合意に至らなかった現状を指摘しつつ、化学リサイクルなどの新技術の可能性に言及。「プラスチック廃棄物債権」という新たな資金調達方法で環境対策を支援できると提案しました。さらにWINA理事会社から、康師傅(Master Kong)が登壇し、蒸気熱の再利用や生分解性プラスチックの使用など自社の事例を紹介。環境関連の主要な媒体「Eco-Business」のピン・マノンド氏をモデレーターとして迎えたパネルディスカッションでは「循環型経済に向かうべき」と締めくくり、即席めん業界の環境への取り組みを評価しました。
フォーラム③
デジタル時代における食品安全

FSSC 財団南アジア地区シニアアドバイザーのダルシェイン氏は「食の安全=信頼を築くこと」と定義し、デジタル時代の今は情報が食品安全に大きな影響を与えること解説。SNSなどで広がる誤情報や模倣品問題に対する迅速な対応の重要性を指摘しました。インドネシアの食品安全専門家であるロイ・スパリンガ氏は即席めんの健康リスクと環境負荷の両面を指摘。コーデックス (CODEX) 委員会による汚染物質の許容量設定などの国際的取り組みを紹介しつつ、特にASEAN地域での「一貫性のある食品安全基準」を構築すべきと訴えました。さらに、パネリストとしてモンデニッシンが同社の食品安全監視システムや早期警戒システムについて説明。ディスカッションでは、国際生命科学研究所のポーリン・チャン科学的運用部長がモデレーターを務め、WINA各社の拠点である各国・地域の基準の違いや中小企業の対応の難しさを課題として挙げ、包括的な支援の必要性を訴えました。
フォーラム④
社会課題の解決

安藤宏基 WINA 会⻑が登壇し、即席めん産業がさらなる業界の成⻑・発展を実現するには「即席めん業界だからこそ出来る、社会課題解決や社会価値の提供が必要」と指摘。続いて登壇した「フィリピン・ビジネス・フォー・ソーシャルプログレス」のエルヴィン・ウィ エグゼクティブ・ディレクターは栄養改善に向けた同国のプログラムなどの取り組みを紹介しながら、「即席めんは栄養科学と製造技術の革新により栄養改善に貢献できる」と強調しました。パネルディスカッションでは、フィリピン災害レジリエンス財団のヴェロニカ・ガバルドン エグゼクティブ・ディレクターがモデレーターとなり、フィリピンや日本などで災害時に即席めんが果たしてきた社会貢献の具体例や、メーカーの規模を問わない「チャレンジマインド」の重要性について話し合いました。パネルディスカッションの後、安藤WINA会長が新しいイニシアティブとして「WINA Day」の実施を提案し、「WINA Challenge Target」の理念に基づいた、WINA加盟各社によるそれぞれの国・地域での社会貢献活動の推進を呼びかけました。
※肩書は当時のものです