WINA食品安全会議
2014
日時:2014年11月24日(月)~25日(火)
開催地:シンガポール
- 概要
- 発表内容
- フォト
ギャラリー
概要
日時
2014年11月24日(月)~25日(火)
会場
Shangri-La Hotel Singapore
11月24日(月) ~25日(火)の2日間にわたってシンガポールでWINA食品安全会議が開催されました。WINA会員のインスタントラーメンメーカーのトップや品質保証担当者など16の国や地域から総勢98名が集まり、食品安全問題について話し合いました。
プログラム
1日目
●理事会
●開会式
●基調講演
「食品に影響を与えるグローバルトレンド」
元FDA食品部門最高責任者 Dr. David Acheson
●セッション1
「インスタントラーメンの
ポジティブイメージ確立に向けて」
康師傅 中央研究所所長 (CTO)
Mr. Richard Chen (陳應讓)
●セッション2
「インスタントラーメンにまつわる
危害物質の現状と対応」
日清食品ホールディングス 食品安全研究所所長
Dr. Toshihiro Yamada (山田敏広)
●セッション3
「減塩への取り組みの方向性」
タイプレジデント 社外役員 Dr. Visith Chavasit
「韓国インスタントラーメン業界の
減塩に対する取り組み」
農心 海外事業部常務 Mr. Yong Jae Lee
2日目
●セッション4
「栄養面からの考察」
ネスレ インドR&Dセンター所長
Mr. Joshi Parminder Singh
●セッション5
「ブランドオーナーとしてのフードディフェンス」
日清食品ホールディングス
チーフ・プロダクション・オフィサー
Mr. Yasuhiro Yamada (山田恭裕)
●WINA会長による総括
開催報告
理事会
初日の朝に開催された理事会では、今後のWINAイベントの考え方についてWINA会長より提案がありました。今後のWINAのイベントの方向性として、2年に1度食品安全やESG※1に関わる問題を議論する食品安全会議と、WINA理事会社がPRを目的として主催するサミット※2の2つの併用案が示されました。また、WINA災害食料救援基金に中国の康師傅から10万ドル、同じく中国の白象食品から5万ドルの寄付があったことが報告されました。WINA食品安全研究基金については今後より有効的に活用していくことが提案されました。
※1 Environmental, Social, Governance
※2 理事承認が必要となる
本会議
安藤WINA会長の開会の辞で始まった本会議は、元米国FDA食品部門最高責任者のデイヴィッド・アチソン博士による基調講演、食品安全をテーマにしたセッションと続きました。各セッションでは、有害物質の最先端研究や減塩への取り組みなどインスタントラーメン業界が直面している食品安全問題についてWINA会員企業によるプレゼンテーションおよび意見交換が行われ、活発な議論が交わされました。
最後に、安藤WINA会長が総括として「一社がミスを起こすと総需要の低下を招くため初動は最も大切である。食品安全と減塩、栄養に関するガイドライン作りは非競争分野として業界全体で取り組んでいくべき問題である」と締めくくりました。
※肩書は当時のものです
発表内容
基調講演
食品に影響を与えるグローバルトレンド
Dr. David Acheson
元FDA食品部門最高責任者
食品の保存技術が発達した現代において「食品安全」という言葉の意味も少しずつ変わってきました。安心安全は当たり前となり、栄養バランスやヘルシーであることが求められるようになってきた中で食品メーカーは起こり得る様々なリスクに対処できるように世の中の流れを掴み、リスクを減らすための技術を準備しておくべきであると強調されました。
セッション1
インスタントラーメンの
ポジティブイメージ確立に向けて
Mr. Richard Chen (陳應讓)
康師傅 中央研究所所長 (CTO)
中国国内においても近年、食品の選択肢の多元化、厳しくなるガイドライン、事実と異なる報道による風評被害などが起こり、インスタントラーメンメーカーも対応に迫られています。ポジティブイメージ確立のためには、継続的なイノベーション、ポジティブコミュニケーションの展開、社会的貢献活動を実施し、インスタントラーメンをValue Foodとして認識されるように努めていくべきであると訴えました。
セッション2
インスタントラーメンにまつわる
危害物質の現状と対応
Dr. Toshihiro Yamada (山田敏広)
日清食品ホールディングス 食品安全研究所所長
摂取することで健康に影響を及ぼすリスクがある物質の紹介とともに、そういった有害物質に対しては科学的知見に基づいた客観的評価を行い、その評価を踏まえた技術的な対応策やリスク低減のための適切な措置を実施することが重要であるとの説明がありました。
セッション3
減塩への取り組みの方向性
Dr. Visith Chavasit
タイプレジデント 社外役員
国民の塩分摂取量が多いタイでは高血圧の割合が高く。国をあげて減塩活動を実施しており、塩分の摂りすぎが要因となる恐れのある病気の認知や国内でのキャンペーン、商品パッケージ表示など様々な取り組みが発表されました。
韓国インスタントラーメン業界の
減塩に対する取り組み
Mr. Yong-Jae Lee
農心 海外事業部常務
インスタントラーメンの一人当たりの消費量が世界1位の韓国では、元々塩分が高い食品が多く、政府が近年国挙げて減塩に力を入れています。インスタントラーメンにも栄養バランスと安全性が求められるようになってきており、農心も以前より減塩に取り組んできました。今回のプレゼンテーションでは、韓国での減塩事情と農心の取り組み、今後の減塩の方向性について解説がありました。
セッション4
栄養面からの考察
Mr. Joshi Parminder Singh
ネスレ インドR&Dセンター所長
ネスレでは、健康志向の高まりを受けて、低塩分・低脂肪のインスタントラーメンを開発してきましたが、次のステップとして今後はインスタントラーメンメーカーが水不足問題や農村の発展への持続可能な取り組みを行い、インスタントラーメンのさらなる価値を消費者やビジネスパートナーと共有していくことが重要であると発表がありました。その価値の共有の礎となるのが、ネスレが展開する国や地域の環境や社会の持続可能な開発と、国ごとの法令および国際基準の順守、自社の価値観と信念に基づいた行動規範であると説明しました。
セッション5
ブランドオーナーとしてのフードディフェンス
Mr. Yasuhiro Yamada (山田恭裕)
日清食品ホールディングス チーフ・プロダクション・オフィサー
昨今の食品業界における意図的混入事件の事例とその原因の考察、日清食品での食品安全への取り組みについて紹介されました。
WINA会長による総括
最後に、安藤WINA会長が登壇し「どこか一社がミスをすると総需要の低下を招く。初動が最も大切である。非競争分野として食品安全と減塩問題、栄養に関するガイドライン作りに業界全体で取り組んでいくべきである」と総括しました。
※肩書は当時のものです