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第8回
世界ラーメンサミット

日時:2012年5月19日(土)~21日(月)

開催地:天津(中国)

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概要

民以食為天
Instant Noodles for Better Life

日時

2012年5月19日(土)~21日(月)

会場

Renaissance Tianjin TEDA
Convention Centre Hotel

ホスト
カンパニー

康師傳

5月19日(土) 〜21日(月) の3日間にわたり、中国の天津にて第8回世界ラーメンサミットが開催されました。世界ラーメン協会 (World Instant Noodles Association 略称: WINA) が主催し2年毎に開催されるインスタントラーメン業界最大のイベントです。今回のホストは康師傳。”民以食為天 (Instant Noodles for Better Life) ”のテーマのもと、世界16カ国 / 地域から86のWINA会員団体が出席しました。さらに、来賓、地元メディア、ホスト企業関係者などを加え約600人が出席するイベントとなりました。

プログラム

1日目

理事会

総会

議長交代

事務局報告

マーケットレポート

CFフェスティバル

2日目

フォーラム

【セッション1】 「インスタントラーメン:その栄養、付加価値、食品安全」
インド科学工業研究委員会 (CSIR)、インド栄養学会会長、食品安全基準会議会長 Dr. V. Prakash

【セッション2】 「未来の消費者:スローフード、地産地消、気候変動がインスタントラーメン業界に意味すること」
ワールドウォッチ研究所主任研究員、Edible誌の発行者・編集長 Mr. Brian Halweil

【セッション3】 「中国の食品安全の概要」
中国食品科学技術学会 副理事長
IUFoST国際食品安全委員会共同主席 
刘秀梅 (Xiumei Liu) 女史

【セッション4】
「インスタントラーメンの品質保証」
日清食品ホールディングス CQO、
同社食品安全研究所所長 山田敏広氏

【セッション5】 「中国のおいしさと私」
康師傳 マーケティング担当副社長 
卢宗庆(William Lur)氏

パネルディスカッション

天津宣言発表

開催報告

理事会

サミット初日はWINAの意思決定機関である理事会からスタートしました。世界の主要インスタントラーメンメーカーのトップが一堂に会する、まさに「サミット」です。最大の市場である中国において食の安全を強化するために、ホストの康師傳から理事増員の提案があり可決されました。その結果、今麦郎と白象の2社が新たにWINAの理事に加わり理事が13社となりました。

また、安藤百福初代WINA会長の寄附を元にスタートしたWINA災害食料救援基金に、50万ドルを補充することを決めました。今回のホスト康師傳からの寄付20万ドル、日清食品ホールディングスからの寄付10万ドル、残りの20万ドルはWINA一般会計からの移行となります。更に、理事会社はじめ会員各社に寄付を募ることを決めました。

総会

理事会に続いては、正会員 (インスタントラーメンメーカー) が集合しての総会がありました。開会式には中国政府ならびに天津市から副大臣、副市長など30名ほどの要人が臨席し、中国でのインスタントラーメン業界への関心の高さを印象づけました。

安藤宏基WINA会長は、開会の辞で、地球人口が急増する中、インスタントラーメンが果たすべき役割が一層大きくなっていること、安全性の問題については、安易な回収・廃棄をする前に科学的なリスク評価をすべきであると強調。クアラルンプール・サミット以降2年間でのインスタントラーメン世界市場を取り巻く事象、食品の安全問題が総括されました。2011年の世界総需要が982億食であったと発表されました。

議長交代式:

前議長 (Director General) のネスレ (マレーシア) のピーターヴォーグ氏から、新議長となる康師傳の魏応州氏にWINA旗が渡されました。魏氏がこの日から向こう2年間WINAの議長 (Director General) を務めることがアナウンスされました。 議長就任に当たり、魏氏は食品業界の他業類で起きた悪いニュースがインスタントラーメン業界にも影響を及ぼしたとして、食の安全の重要性を強調しました。また、今回のサミットテーマは食の安全確保を促した胡錦濤主席の発言に由来していると述べました。

事務局報告:

魏新議長の指示のもと、WINA事務局から活動報告、会計報告がありました。

マーケット・レポート:

マーケット・レポートでは、理事各社が国/地域のアルファベット順にそれぞれの市場現況について報告しました。

  1. ブラジル Nissin-Ajinomoto Alimentos Ltda.
  2. 中国 Tingyi (Cayman Islands) Holdings Corporation
  3. インドネシア PT Indofood CBP Sukses Makmur Tbk
  4. 日本 Nissin Foods Holdings Co., Ltd.
  5. 韓国 Nong Shim Co., Ltd.
  6. マレーシア Nestlé Products Sdn. Bhd.
  7. フィリピン Monde Nissin Corporation.
  8. ロシア LLC Mareven Food Holdings Co., Ltd.
  9. 台湾 Uni-President Enterprises Corporation
  10. タイ Thai President Foods P.C.L.
  11. ベトナム Acecook Vietnam Joint Stock Company
CFフェスティバル:

恒例のCFフェスティバルでは、世界各社から選出されたCF17作品が上映されました。これらのCFは北京電通総経理の岡崎茂生氏、サーチ&サーチ前チーフクリエイティブディレクターのPeter Soh氏、北京インターフェイス・コミュニケーション部長でカンヌ広告祭でも審査員を務める沈呂百氏といった広告界の重鎮が評価をしました。

次回ホスト企業の発表:

総会の最後に、WINA会長と議長から次回のホストとしてエースコックベトナムの名が発表されました。梶原社長とチィ副社長が登壇し2014年のホーチミンでのサミットに向けての抱負を語りました。

ウェルカム・ディナー

ホテルに近接する屋外会場に場所を移し、世界の舞踊や歌を楽しみながらのディナーとなりました。多彩な衣装とダンスが目を奪いました。屋外会場の芝には中国各地の麺料理のブースが並び、中国を代表する麺料理のシェフたちが腕を披露しました。圧巻は、締めの花火です。17分間に渡り、打ち上げられた花火が夜空に映えました。

フォーラム

2日目は、インスタントラーメンメーカー始め、賛助会員 (サプライヤー) 、ホストの関係先、メディア等々も含め600人ほどが出席しました。 来賓の丹羽宇一郎在中国日本大使は挨拶の中で、インスタントラーメンの歴史に触れ、WINA初代会長である安藤百福の理念「食足世平」を力説されました。続いて、中国工信部の王黎明司長より挨拶があり、中国の加工食品の歴史をプロジェクターを使って解説しました。 講演は以下の5名で、それぞれ専門的立場からインスタントラーメンの未来に向けた提言がありました。

また、今回のサミットでは、初の試みとして講演者たちによるパネルディスカッションを催しました。安藤宏基WINA会長がパネリストとして加わり、学者、産業界それぞれの最先端の意見を戦わせました。
その後、ホストである康師傳の魏応州会長が高らかに天津宣言を読上げました。

共同記者会見

新理事2名を加えて11ヵ国/地域の13人の理事が揃い踏みをしての共同記者会見が行われました。

展示ブース

初日、2日目を通じサミット会場では、各社の展示ブースが並びました。新規性ある商品が競い合うように展示されました。

ガラディナー

千手観音はじめ趣向を凝らしたエンターテイメントが次々に披露されサミットを締めくくる華やかディナーとなりました。前日のCFフェスティバルの入賞作品が発表されました。安藤WINA会長とホストである魏応州氏のそれぞれから感謝の言葉があり、幕を閉じました。

工場見学

3日目のオプション・プログラムの目玉はホスト康師傳の工場見学。同社自慢の最新工場が各国の参加者に公開されました。

※肩書は当時のものです

天津宣言

中国天津にて第8回 世界ラーメンサミットが開催された。世界各国からのインスタントラーメンメーカー並びに関連業界各社は、「民以食為天」(Instant Noodles for Better Life) をテーマに議論を重ね、インスタントラーメンの使命を改めて確認した。

インスタントラーメンは有事の際に大きな役目を果たしてきた。ここ中国に於いては、2008年の四川地震、2010年の青海地震の際に、世界ラーメン協会 (WINA) では会員企業の協力の下、大量のインスタントラーメンを提供した。他国においても、昨年の東日本大震災、タイの洪水、フィリピンの台風等々の大規模災害でインスタントラーメンは力を発揮した。絶望と不安の淵にいる被災者たちは、この暖かい一杯に大きな安らぎを感じてくれる。空腹を満たすだけの他の非常食とは違う、インスタントラーメンならではの価値がここにある。我々はインスタントラーメンを通じての支援を拡充すべく、WINA災害食料救援基金の50万ドルの即時補充を決めると共に理事会社および会員各社からの寄付を募ることを決議した。

インスタントラーメンの役割は災害時に留まるものではない。昨年、地球人口は70億人を超えた。2050年には人口100億人に達するとも言われる。食糧危機が叫ばれている状況下、インスタントラーメンの年間総需要は982億食となった。インスタントラーメンへの期待は大きい。「美味しく栄養がある」「簡便である」「安全で衛生的」「長期保存が可能」「手ごろな価格」という5要件全てを満たす食品であるためだ。

とりわけ食の安全に対して、インスタントラーメン業界は全力で取組んできた。この姿勢は今後とも貫く覚悟である。我々は、企業間のフェアな競争は消費者の選択肢を広げるために厳守すべきものと捉えている。また、消費者を守るためには食品安全および環境保護に関する情報は、非競争分野として、WINAをベースに共有してゆく必要性を確認した。昨今、食の安全を揺るがす事件が多い。我々は危害物質をなくす努力を惜しまない。しかしながら、人体に影響が認められない程度の混入事故でも、市中の全ての在庫を回収、破棄するような風潮には警鐘を鳴らしたい。人体には許容量というものがあり、有か無という指標だけで判断するのは合理性を欠く。そればかりか、資源の浪費や地球環境悪化にもつながる。マスコミや消費者の皆様には、科学的根拠に基づいた耐容摂取量などを踏まえての御対応をお願いしたい。

我々は、食の安全に引続き邁進することを誓う。そして、良質の商品を提供することが世の為になるとの思いを胸に、インスタントラーメンを通じて社会に貢献してゆくことを、食の都、中国天津の地で宣言する。

フォーラム内容

セッション1

インスタントラーメン:
その栄養、付加価値、食品安全

Dr. V. Prakash

インド科学工業研究委員会 (CSIR) 、インド栄養学会会長、食品安全基準会議会長

インスタントラーメンの特性に言及しながら、どの国にも、もともとそうした文化がなかったにも拘らず今日何十億本の缶飲料や瓶飲料が売れていることから、インスタントラーメンの成長の潜在性は大きいとの指摘がありました。成長の必須条件として、食品安全と技術革新について語りました。また、更なる付加価値化として、栄養補助食品としてのインスタントラーメン開発を提案されました。

セッション2

未来の消費者:スローフード、地産地消、気候変動が
インスタントラーメン業界に意味すること

Mr. Brian Halweil

ワールドウォッチ研究所主任研究員、Edible誌の発行者・編集長

人口70億人を迎えた今日、異常気象による農産物の収量減少に加え、穀物市場への投機的な動きもあって食糧価格は高騰しています。この状況下、食糧供給、生態系、経済の長期的安定化という視点から、インスタントラーメンに寄せられる期待の大きさを述べました。また、そのためには、価格変動の影響軽減、顧客教育、サプライチェーンを通じての無駄の削減、年少購入者の取り込み等が必要になってくることを強調されました。

セッション3

中国の食品安全の概要

刘秀梅 (Xiumei Liu) 女史

中国食品科学技術学会 副理事長、IUFoST国際食品安全委員会共同主席

中国における食品安全の体制を同国の食品安全の第一人者が語りました。

セッション4

インスタントラーメンの品質保証

山田敏広氏

日清食品ホールディングス CQO、同社食品安全研究所所長

ADI、TDI、MOEといった食品の安全性の指標の基本概念が説明されました。その上で、福島原発事故に端を発する食品中の放射線の問題、フタル酸エステル混入事件など、最近話題となった具体的事例を挙げて解説がありました。

セッション5

中国のおいしさと私

卢宗庆 (William Lur) 氏

康師傳 マーケティング担当副社長

中国の様々な食文化の研究に基づき、それを取り入れてのインスタントラーメンの開発に努めた康師傳の実体験を紹介しました。食文化の紹介の際には、ステージ上でプロによる麺作りの実演があり、聴衆を魅了しました。

※肩書は当時のものです