第6回
世界ラーメンサミット
日時:2008年4月8日(火)~10日(木)
開催地:大阪(日本)
- 概要
- 宣言
- フォーラム
内容 - フォト
ギャラリー
概要
Serving Excellence - Serving Happiness
世界に、確かなおいしさを。未来に、確かなよろこびを。
日時
2008年4月8日(火)~4月10日(木)
会場
ザ・リッツ・カールトン大阪
ホスト
カンパニー
日清食品株式会社
テーマ
「50年後の未来に
インスタントラーメンはどうあるべきか。」
2008年4月8日(火) 、9日(水) の両日、インスタントラーメン誕生の地である大阪において第6回 世界ラーメンサミット大阪が開催されました。 発明50周年に当たる今回は、21カ国 / 地域のインスタントラーメンメーカーなどWINA会員企業約100社・400名が参加。「50年後の未来にインスタントラーメンはどうあるべきか」をテーマとして、緊急の課題である地球温暖化、人口増加、小麦・大豆・パーム油等の穀物原料価格の高騰など一連のリンクした問題のほか、「食の安全性」を取り上げ討議しました。
プログラム
1日目
●理事会
●総会
議長交代
事務局報告
特別報告 日清食品ホールディングス
食品安全研究所 所長 山田敏広
マーケットレポート
CFフェスティバル
2日目
●フォーラム
【基調講演1】
「地球温暖化、バイオ燃料、
そしてこれからの食糧供給」
米国・アイオワ州立大学教授
Prof. Bruce A. Babcock
【基調講演2】
「世界食糧事情と日本の農業」
伊藤忠商事株式会社 取締役会長
Mr. Uichiro Niwa (丹羽宇一郎)
【講演1】
「中国インスタントラーメンの回顧と
未来の発展」
中国農業省 農業産業局 局長
Mr. Liangui Huang (黄連貴)
【講演2】
「食の安全性に関する情報発信、管理、
および評価」
オランダ・ワニンゲン大学教授Prof.
Lynn Frewer
大阪宣言
●共同記者会見
開催報告
理事会
世界の主要10社のトップが一同に会す理事会では、2007年の世界総需要、被災者支援や食品の安全性確保などについて活発な意見が交わされました。WINA (当時IRMA) の初代会長でもあった故安藤百福の遺産の一部を使った「災害食料救援基金」の設立や、「食品安全研究基金」の設立などを決定しました。
総会
総会には正会員も加わり、100名あまりが出席しました。前議長の李相潤は、安藤百福が1958年にここ大阪でインスタントラーメンを開発してから50年目の記念の年であり、IRMAからWINAに移行して最初のサミットである今回は特記すべき大会であるとの指摘があり、これまでの半世紀に大きく成長したインスタントラーメン業界は、次の50年は質的な成長をすべきであるとの挨拶がありました。新議長である安藤宏基は、出席者に歓迎の意を表すと共に、食の安全はインスタントラーメン業界共通の課題である、とWINAの意義を改めて強調しました。総会では「食の安全」に関する特別報告が行われたほか、世界11の国と地域の代表者によって、それぞれのインスタントラーメン市場の近況や課題についての報告、CFフェスティバルが行われました。
安藤百福翁像除幕式
インスタントラーメン誕生の地池田市にあるインスタントラーメン発明記念館にて、インスタントラーメン発明者である故安藤百福の銅像の除幕式がありました。中曽根元内閣総理大臣はじめ多数の来賓が参列される中、でのお披露目となりました。
展示ブース
展示ブースでは、会員各社が趣向を凝らした演出で、自社の商品をアピールしていました。来場客は馴染みのない世界各国のインスタントラーメンを興味深そうに見ていました。
フォーラム
フォーラムには、WINA会員各社に加え、賛助会員や招待客ら約400名が参加。小泉純一郎元内閣総理大臣をはじめとした多数の来賓もお迎えしました。講演では、アイオワ大学のブルース A.バブコック教授、伊藤忠商事・丹羽宇一郎会長、中国農業省の黄連貴局長、オランダ・ワーニンゲン大学のリン・フリューワー教授といった各界を代表する論客が登壇。インスタントラーメン産業が直面している様々な問題をテーマとした講演には、多くの出席者が熱心に耳を傾けていました。
大阪宣言
インスタントラーメンの更なる価値向上と、平和産業として地球上すべての人々に貢献すべく、2つの基金 (災害食料援助基金、食品安全研究基金) の設立を発表するとともに、食糧資源の利用においては、食はエネルギーより優先されるべきであるとの提言を行いました。 最後に、次の50年に向けて安全、健康、環境、楽しさをさらに訴求し革新を続けてゆくことを確認して、サミットは閉幕しました。
合同記者会見
今回のサミットはマスコミからの注目度も高く、日本を代表する全国紙や通信社の記者、テレビ局のレポーターらが数多く集まりました。また、海外のメディアも多く詰めかけ、活発な質疑応答が行われました。
※肩書は当時のものです
大阪宣言
インスタントラーメン発明50周年を記念し、発祥の地大阪で開いた「第6回 世界ラーメンサミット大阪」(WINA世界ラーメン協会主催) には、世界 10カ国 / 地域を代表するトップメーカー10社と、世界21カ国 / 地域から50社2団体が参加し、インスタントラーメンの発展と世界貢献のあり方について討議した。
世界の総需要は2007年に979億食となり、2008年は1000億食達成のカウントダウン段階に入っている。ここ7年間、毎年平均10%以上の伸びを示しているが、世界の食品業界でも例を見ない急成長の秘密は、各国のメーカーがそれぞれの国・地域の食文化を大切にしながら開発し、そして一貫して簡便性、経済性、安全性を追求して商品価値の向上に努めてきたからである。
今回のサミットは「50年後の未来にインスタントラーメンはどうあるべきか」をテーマに掲げた。人口増加によって食糧需給が逼迫する近未来には、インスタントラーメンの安定的供給が欠かせないとの結論に達し、天災や戦乱等によって食糧難に陥っている地域には、積極的な食糧支援活動を継続することを決定した。同時にWINA災害食料救援基金及びWINA食品安全研究基金を設立した。
また、現在われわれが直面している2つの問題について意見交換をした。一つは食のグローバル化が進んだ結果、食品の安全性の問題が発生地点を越えて地球規模の問題として広がっていることである。WINAメンバーは製品の安全性に関する情報を共有し、知恵を交換し、一致団結して消費者保護にあたることを決意した。
もう一つの問題は、バイオ燃料の生産が活発化し、また地球温暖化による異常気象のため、これが食糧、飼料に使われる穀物生産と競合し、著しい小麦・コーン・パーム油の不足および価格の高騰を招いていることである。このまま推移すると、製品の品質を維持する困難に直面するばかりでなく、食糧危機の到来が早まる可能性もある。50年後の未来に向けて、インスタントラーメンを安定的に供給していくためには、一段の技術開発や企業努力が必要であることを確認した。
世界需要1000億食の到来を間近に控えて、インスタントラーメンの商品価値がますます高まり、平和産業として地球上すべての人々に貢献できるよう努力することを誓い、「地球食宣言」とする。
インスタントラーメンが地球食としての市民権を得て、国境を超えてスーパーバリューフードとして全地球の市民に対し貢献をしていることを誇りとする。
同時に、食糧資源の利用においては、食はエネルギーより優先されるべきであり、安全で栄養のある食品を必要としている人々への安定供給が何よりも大切であることを提言する。
最後に、インスタントラーメンは50年の歴史を経て、品質と安全に関しては十分に高いレベルを達成しているが、次の50年において更に安全・健康・環境・楽しさというテーマに沿ってイノベーションを続け、 地球食として一層価値を高め、新たな需要を創造していくことが使命であることを確認した。
フォーラム内容
今回のサミットのテーマは「50年後の未来にインスタントラーメンはどうあるべきか」とし、フォーラムでは、緊急の課題である地球温暖化、人口増加、小麦・大豆・パーム油等の穀物原料価格の高騰など一連の問題や、食の安全性を取り上げました。
基調講演1
「地球温暖化、バイオ燃料、
そしてこれからの食糧供給」
ブルース A. バブコック 氏
米国・アイオワ州立大学教授
米国、ブラジル、アルゼンチンなどの国々がバイオ燃料生産に積極的に肩入れしているために、穀物や油糧作物の市場供給量がバイオ燃料向けの需要へ割り振られ、いずれも価格の高騰を招いている。地球温暖化とバイオ燃料増産が米国の食糧供給力に与える影響を今一度検討することで、米国が今後も主要食糧輸出国であり続けるために採るべき政策について考える。
バブコック博士は農業政策、穀物保険分野の権威であるが、現在、拡大するバイオ燃料生産が、食糧価格や将来に向けての食糧確保の可能性、貿易流通、温室ガス効果削減に対してどのような影響や効果を持つかを研究する最前線の研究チームを指揮している。
基調講演2
「世界食糧事情と日本の農業」
丹羽 宇一郎 氏
伊藤忠商事株式会社 取締役会長
日本経済界の重鎮、丹羽宇一郎氏が、水、食糧、エネルギーの切り口から、地球人口爆発という状況下の食糧問題を語る。保存食として、また支援物資としてインスタントラーメンへの期待を寄せている。
丹羽宇一郎氏は、伊藤忠商事株式会社の取締役会長を務める一方で、社外では経済財政諮問会議 民間議員、地方分権改革推進委員会 委員長など数多くの役職を兼任。 また社会貢献事業にも注力し、国連世界食糧計画を民間から支援する認定NPO法人「国連WFP協会」の会長も務める。
講演1
「中国インスタントラーメンの回顧と未来の発展」
黄連貴 氏
中国農業省 農業産業局 局長
世界のインスタントラーメン生産量の約半分を占める中国。農業産業行政に長年のキャリアを持つ黄氏が、同国におけるインスタントラーメン市場の急成長の背景や、今後の展望・課題について語る。
黄氏は中国農業大学を卒業。中国農業省農業産業局局長、中国農村経営管理学会秘書長、「農村経営管理」誌編集主幹を務める。
講演2
「食の安全性に関する情報発信、管理、
および評価」
リン・フリューワー 氏
オランダ・ワニンゲン大学教授
食の安全性をめぐる問題に対する消費者の反応は、リスクに対する各消費者の認識力に、ある程度依存する。消費者のリスク認識というものは、特定のリスクについて「専門的な」技術や知識をもった専門家の認識とはまた違ったものであり、食の安全性に関しても同じことが言える。また、リスク認識について異文化間での相違点と類似点とを理解し、消費者の行動にどのような影響を与えるかを検討する。消費者の信頼を世界的なレベルで高めるに必要なことは、食の安全性についての国際的状況を把握することである。
リン・フリューワー博士は、オランダ・ワニンゲン大学食品安全性と消費者行動学教授。英国・食品研究所消費者科学部門長の経歴をもっている。また、心理学のバックグラウンドを有する。現在の研究上の関心は、効果的な食品リスクコミュニケーション、管理および評価、科学と社会の問題、食品政策への一般の人々及び利害関係者の関わり方に対する評価である。
※肩書は当時のものです